◆新生活の疲れが出る5月、中学1年、心身不調注意
読売新聞2014.5.16掲載
新年度が始まって1か月。生活環境の変化に対応できず、心身の不調を訴える子どもが目立ち始める時期だ。
特に学校生活が大きく変わった中学1年生は、配慮が必要。保護者は、子どもの変化を見逃さず、不安な気持ちに寄り添うようにしたい。
「突然、『学校に行きたくない』と子どもに言われ、どうしていいのか分からない」
不登校の子どもを支援する民間団体「子ども教育支援センター」(東京)には、5月の大型連休が明けた頃から、小中学生の子どもを持つ親からのこうした内容の相談が増えるという。同センター代表の木下貴博さんは、「新年度が始まる4月は、新しい生活に慣れようと子どもたちは一生懸命になる。しかし、5月になると疲れが出るうえ、大型連休で緊張感が緩む。連休明けには、いわゆる五月病のように無気力になったり、心身の不調を訴えたりするケースも多い」と話す。
とくに学習や生活の変化の大きい中学1年生には配慮が必要だ。異なる小学校出身の生徒と一緒になって友人関係が複雑になるうえ、部活動では先輩、後輩という明確な上下関係が生まれる。学習面では、教科ごとに教える教師が替わる教科担任制になり、学ぶ内容も難しくなる。6月に最初の定期試験を行う学校も多い。
こうしたことからストレスを抱えて登校を渋り、学校を休みがちになることがあるという。文部科学省の調査によると、2012年度に30日以上欠席した不登校児童・生徒数は、小学6年生で6920人。中学1年生はその約3倍の2万1194人だった。
◆中1ギャップ 入学後間もなく不登校に
朝日新聞社 AERA 2010.8.2
小学校から中学校への移行がうまくいかない「中1ギャップ」の現状はデータにも表れている。2008年度の不登校生は、小6が7727人なのに対して、中1が2万3149人。一気に3倍に跳ね上がる。
深刻ないじめなどを原因とする不登校は、以前から問題だった。だが、ここにきて浮上してきたのは、学習や生活の変化に対応しきれなくなる「環境不適応型」の不登校だ。
不登校の子どもの学校復帰を支援する「子ども教育支援センター」(東京都渋谷区)には、今年4月から130件を超す相談が寄せられた。半数以上が中学生の親から。相談件数は、5月の連休明けからどっと増えた。
同センター会長の木下貴博さん(48)によれば、最近多いのが、「理由がはっきりしない不登校」だという。「子ども自身が、なぜ不登校になったのかもわからない。よくよく聞けば、ちょっと口下手だったり、友だちとの関わりが苦手だったり。親御さんも、どう対応してよいかわからず、パニックになる場合があります」
学力水準は中堅より上の、都内のある私立男子中学校でも、入学して間もない生徒が突然、学校へ行かなくなった。家では母親に手を上げ、兄弟にも暴力を振るった。自分の頭を壁に打ち付ける自傷行為まで始まった。部屋に引きこもり、生活は完全に昼夜逆転に。こんな相談がよせられる。